「なんとなく調子が悪いけれど、病院へ行くほどではない気がする…」
そんなとき、私たちが日常の中で自分の健康を守るためにできる行動のことを セルフメディケーション といいます。
生活習慣を整えたり、市販薬(OTC医薬品)を必要に応じて上手に使ったりすることで、体調の悪化を防ぐことができ、病院にかかる負担や医療費の増加を抑える効果も期待できます。さらに、一部の市販薬は「セルフメディケーション税制」の対象となり、医療費控除として節税につながる場合もあります。
一方で、自己判断に頼りすぎてしまうと、治療が遅れたり、体調が悪化するリスクもあります。
だからこそ 正しい知識と使い方 が重要です。
本記事では、セルフメディケーションの意味や日常での実践方法、税制制度の活用方法、そして注意点について、専門家の視点を交えてわかりやすく解説します。
セルフメディケーションとは
セルフメディケーションとは、自分の健康に責任を持ち、軽度な体調不良の対処や健康管理を自ら行うこと を指します。
WHO(世界保健機関)でも推奨されている考え方で、健康を医療に任せきりにするのではなく、日常から自分の体調に向き合うことが大切とされています。
セルフメディケーションが注目される理由
近年この考え方が注目されている背景には、次のような社会の変化があります。
- 医療機関の受診者増加による混雑
- 医療費負担の増加
- 一人ひとりの健康意識の高まり
自分で体調に気づき、早めに対処ができると、重症化を防ぐことができ、結果として健康を維持しやすくなります。
セルフメディケーションでできること
セルフメディケーションは「市販薬を使うこと」だけではありません。
- 日常の体調観察
- 市販薬(OTC薬)の適切な活用
- 睡眠・食事・運動など生活習慣の調整
- 体調悪化時の早期受診判断
つまり、自分の体と向き合う習慣そのもの がセルフメディケーションの基礎です。
セルフメディケーションの具体的な実践方法
日常的な体調チェック
「なんとなく調子が悪い」という感覚を放置しないことが大切です。
以下のポイントを毎日意識します。
- 体温や汗のかき方
- 食欲や睡眠の質
- だるさや疲れの度合い
- 気分や集中力の変化
小さな違和感に気づける人ほど、体調を悪くしにくい という研究結果もあります。
市販薬(OTC医薬品)の適切な活用
市販薬は初期症状の軽減に役立ちますが、以下は必ず守りましょう。
- 用法・用量を守る
- 複数の薬を併用しない(不安な場合は薬剤師に相談)
- 3日以上改善しない場合は医療機関へ
特に、痛み止めや胃腸薬は「その場しのぎ」になりやすいため、継続使用は避けることが重要です。
生活習慣の改善
セルフメディケーションの基盤は生活習慣です。
| 項目 | 改善のポイント |
|---|---|
| 食事 | 偏りを避け、たんぱく質と野菜をしっかり摂る |
| 睡眠 | 寝る前のスマホを控え、入眠を妨げない環境づくりをする |
| 運動 | “完璧”より“毎日少し”が継続のコツ。散歩やストレッチからでOK |
薬よりも 日々の習慣が健康を作る という考え方がセルフメディケーションの本質です。
セルフメディケーション税制とは
セルフメディケーション税制とは、健康管理に取り組む人が対象医薬品を購入した際に、年間12,000円を超えた部分の金額を所得控除できる制度です。
対象となる条件
制度を利用するには、次の健康管理を行っている必要があります。
- 健康診断
- 特定健康診査(メタボ検診)
- 予防接種
- がん検診 など
「自分で健康に向き合っている人」ほど恩恵を受けられる制度といえます。
対象となる医薬品
対象薬は厚生労働省が公開しているリストで確認できます。
パッケージに 「セルフメディケーション税制対象」マーク があるものが目印です。
例)
- 解熱鎮痛薬
- 風邪薬
- 胃腸薬
- アレルギー薬 など
セルフメディケーションの注意点
自己判断だけで対処を続けない
次のような場合は、早めの受診が必要です。
- 症状が 3日以上続く
- 痛みが強い / 繰り返す
- 呼吸が苦しい、意識がぼんやりする
「不安なら受診して安心する」という考えで問題ありません。
情報源は信頼できるものを選ぶ
SNS や体験談は参考程度にとどめ、
薬剤師・医師・理学療法士など専門家の意見 を優先しましょう。
Q&A|よくある質問
Q1:セルフメディケーションは市販薬だけで治すことですか?
→ いいえ。市販薬はあくまでサポートであり、日々の体調管理や生活習慣も含まれます。
Q2:税制が使える市販薬はどう見分ける?
→ パッケージの「税制対象マーク」または厚労省リストで確認できます。
Q3:医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できますか?
→ 併用はできません。 どちらか一方を選びます。
Q4:受診するタイミングは?
→ 目安は「症状が3日以上続く」「不安を感じるとき」。迷ったら受診でOKです。
Q5:子どもや高齢者にも実践できる?
→ 可能ですが、自己判断のリスクが高いため、家族・薬剤師などのサポートが重要です。
まとめ
- セルフメディケーションは 自分の健康を自分で守る習慣づくり
- 体調観察・市販薬の適切な活用・生活習慣の見直しが基本
- 対象薬を購入した場合は セルフメディケーション税制で節税 できる
- 自己判断に頼りすぎず、必要に応じて受診することが大切
無理なく、自分の体と向き合う習慣づくりが健康の第一歩です。


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