「体に良い食べ物」と聞くと、スーパーフードや健康食材を思い浮かべる人が多いかもしれません。
でも漢方の視点では、“体に良いかどうか”は その人の体質(証)や、その日の状態で変わります。
たとえば、同じ「生野菜」でも、冷えやすい人には負担になりやすく、逆に熱がこもりやすい人には心地よく働くことがあります。
つまり漢方では、「みんなにとって良いもの」よりも、“自分に合うもの”を選ぶことが大切です。
この記事では、漢方の基本をやさしく整理した上で、体質別(気虚・血虚・瘀血・痰湿)におすすめの食べ物20選をリスト化して紹介します。
さらに、控えたい食べ物・食べ方のコツ・今日からできる簡単メニュー例までまとめるので、「何を食べればいいか」が具体的にわかります。
漢方でいう「体に良い食べ物」とは?
漢方の基本は“体質(証)”に合わせること
漢方では、同じ症状でも原因や体質が違えば、合う食べ物も変わると考えます。
だからこそ大事なのは「これが健康にいい」と一律に決めることではなく、自分の体が今どんな状態かを知ることです。
この記事では、代表的な4タイプ(気虚・血虚・瘀血・痰湿)に分けて、食材を選びやすく整理していきます。
食べ物でよく使う考え方(ざっくりでOK)
食材を漢方的に見るときは、難しい用語を完璧に覚える必要はありません。
まずは次の3つを押さえるだけで十分です。
- 温める/冷やす:冷えやすい人は温める方向、のぼせやすい人は冷ましすぎに注意
- うるおす/乾かす:乾燥しやすい人はうるおす食材、むくみやすい人は水分代謝を意識
- 気・血・水のバランス:元気(気)、栄養と潤い(血)、体の水分循環(水)の偏りを整える
次から、あなたがどのタイプに近いかをチェックしていきましょう。
まずは1分セルフチェック|あなたはどの体質?
※体質は「混ざる」のが普通です。いちばん当てはまるものを目安にしてください。
気虚タイプ(エネルギー不足)
気虚は、体を動かす“エネルギー”が不足しがちな状態です。
次のような傾向が多い人は、気虚の可能性があります。
- 疲れやすい、だるさが抜けにくい
- 風邪をひきやすい
- 食後に眠くなりやすい
- 声が小さい、息切れしやすい
- 胃腸が弱く、食欲にムラがある
このタイプは、消化にやさしく、気(エネルギー)を補う食材を中心にすると整いやすいです。
血虚タイプ(栄養・うるおい不足)
血虚は、漢方でいう“血(栄養と潤い)”が足りない状態。
以下に当てはまる人は血虚の可能性があります。
- 顔色が青白い、疲れが顔に出る
- 爪が割れやすい、髪がパサつく
- めまい、立ちくらみがある
- 眠りが浅い、寝つきが悪い
- 目が疲れやすい、乾きやすい
ポイントは、血を補う食材+吸収しやすい食べ方です。
瘀血タイプ(巡りが悪い)
瘀血は、血の巡りが滞りやすい状態。
“巡りが悪いサイン”が目立つ人に多いタイプです。
- 肩こりが強い、頭痛が出やすい
- 顔のくすみ、クマが気になる
- 生理痛が重い、経血に塊がある
- 同じ場所が痛む、刺すような痛みがある
- 手足が冷えるのに、上半身はのぼせる
このタイプは、巡りをサポートする食材を無理なく取り入れるのがコツです。
痰湿タイプ(余分な水分・だるさ)
痰湿は、体の中に余分な水分や湿気がたまりやすい状態です。
- むくみやすい
- 体が重い、だるい
- 雨の日に調子が落ちる
- 胃がもたれる、食後に眠い
- 肌のべたつき、ニキビが出やすい
このタイプは、水分代謝を助ける食材と、冷たいもの・甘いものの摂り方の見直しが鍵になります。
体質別|体に良い食べ物20選(食材リスト)
ここからが本題です。
各食材は「なぜ良い?」「おすすめの食べ方」「注意点」までまとめます。
気虚におすすめの食べ物5選
気虚タイプは「まず胃腸をいたわりながら、エネルギーを補う」ことが優先です。
生ものよりも、温かく・消化しやすい形で取り入れるのがポイント。
米(おかゆ)
- 方向性:胃腸の負担を減らし、回復の土台を作る
- 食べ方:疲れている日はおかゆに。梅干しや生姜少量を添えるのも◎
- 注意:よく噛める人は“柔らかめご飯”でもOK
いも類(さつまいも・じゃがいも)
- 方向性:持続的なエネルギー補給に向く
- 食べ方:蒸す・煮るが◎。スープに入れると続けやすい
- 注意:胃もたれしやすい人は量を控えめに
鶏肉
- 方向性:補いやすいタンパク源で、体力の底上げに
- 食べ方:鶏スープ・鍋・雑炊に。脂が少ない部位が使いやすい
- 注意:揚げ物より“煮る・蒸す”が向く
大豆製品(豆腐・納豆)
- 方向性:無理なくタンパク質を補える
- 食べ方:冷えやすい人は冷奴より温奴・味噌汁がおすすめ
- 注意:胃腸が弱い日は“豆腐”の方が楽なことも
かぼちゃ
- 方向性:満足感が出やすく、温かい料理に向く
- 食べ方:煮物・ポタージュ・蒸しかぼちゃ
- 注意:甘い味付けにしすぎない(痰湿寄りの人は特に)
気虚のコツ:
「温かい汁物+主食」を整えるだけでも体がラクになる人が多いです。
血虚におすすめの食べ物5選
血虚は「栄養を増やす」だけでなく、「胃腸で受け取れる形にする」ことが大切です。
食事が雑になりがちな人ほど、まず“手軽な一品”から始めましょう。
卵
- 方向性:手軽に血を補う土台になる
- 食べ方:ゆで卵・卵スープ・卵焼きなどで毎日少しずつ
- 注意:胃が弱い日は半熟より火を通すと楽な人も
赤身肉(苦手なら代替:かつお・まぐろ)
- 方向性:血を補う材料(鉄・タンパク)を取りやすい
- 食べ方:少量でもOK。週の回数で調整
- 注意:消化が重い人は“魚”に置き換える
ほうれん草(小松菜でもOK)
- 方向性:血虚の定番食材。温かい調理で取り入れやすい
- 食べ方:味噌汁・スープ・おひたし
- 注意:冷えやすい人は“温かく”が基本
黒ごま
- 方向性:栄養と潤いをサポートしやすい
- 食べ方:すりごま・練りごま・黒ごまきな粉など
- 注意:そのまま粒で食べるより“すり”が続けやすい
なつめ(ドライ)
- 方向性:間食で取り入れやすい血虚サポート食材
- 食べ方:そのまま/お茶/スープに入れる
- 注意:甘みがあるので食べ過ぎには注意
血虚のコツ:
「卵+温かい汁物」を毎日ベースにするだけで、肌・髪・疲れ方が変わる人もいます。
瘀血におすすめの食べ物5選
瘀血は“巡りの悪さ”がテーマ。
刺激に頼らず、毎日の食事で少しずつ整えるのが基本です。
玉ねぎ
- 方向性:巡りサポートの代表
- 食べ方:スープ・蒸し料理・炒め物
- 注意:胃が弱い人は生より加熱
青魚(さば・いわし)
- 方向性:脂の質を整え、巡りの土台を作る
- 食べ方:焼く・煮る・缶詰活用でもOK
- 注意:揚げ物より“焼き・煮”が無難
黒酢
- 方向性:巡りサポートを日常に取り入れやすい
- 食べ方:酢の物・ドレッシング・料理に小さじ1から
- 注意:胃が荒れやすい人は空腹時を避ける
しょうが
- 方向性:温め+巡りに役立つ
- 食べ方:スープ、炒め物、味噌汁に少量
- 注意:刺激が強いと感じる人は量を控える
ベリー類(ブルーベリー等)
- 方向性:間食を置き換えやすく続けやすい
- 食べ方:そのまま/冷凍ベリーを少量
- 注意:冷えやすい人は“冷たいまま大量”は避ける
瘀血のコツ:
食事だけでなく、睡眠・軽い運動(散歩)をセットにすると巡りが変わりやすいです。
痰湿におすすめの食べ物5選
痰湿タイプは「溜めない・巡らせる」が大事。
冷たいもの・甘いものの頻度を見直すと効果が出やすいです。
はとむぎ
- 方向性:余分な水分対策の定番
- 食べ方:はとむぎ茶/ごはんに混ぜる
- 注意:体が冷えやすい人は温かいお茶で
小豆
- 方向性:水分代謝サポートに
- 食べ方:甘くしすぎず、スープ・煮物に
- 注意:砂糖多めの“あんこ”中心だと逆効果になりやすい
きのこ類
- 方向性:食物繊維でスッキリしやすい
- 食べ方:炒め物・スープ・鍋に追加
- 注意:冷たいサラダより温かい料理が◎
大根
- 方向性:巡りと消化サポートに
- 食べ方:煮物・味噌汁・鍋
- 注意:大根おろしは冷えやすい人は量を控えめに
緑茶・烏龍茶(補足:温かく)
- 方向性:食後のもたれ、重だるさ対策に合う人も
- 飲み方:冷やさず、温かいお茶で少量から
- 注意:冷えやすい人・胃が弱い人は飲み過ぎに注意
痰湿のコツ:
最初にやるのは「冷たい飲み物→温かいお茶」に変えること。これだけでも体の重さが変わる人がいます。
逆に控えたい食べ物
ここで大切なのは「全部NGにする」のではなく、量・頻度・タイミングを調整することです。
気虚が摂りすぎ注意
冷たい飲み物、生野菜、甘いものの食べ過ぎは胃腸の負担になりやすいです。
疲れている日に「サラダだけ」「スムージーだけ」だと回復が遅れることも。まずは温かい汁物を足しましょう。
血虚が摂りすぎ注意
刺激物やカフェインの摂りすぎ、夜更かしは回復を邪魔しがちです。
食材以前に「睡眠が削れている」と血が補われにくいので、夜は温かいものを選ぶのがおすすめです。
瘀血が摂りすぎ注意
揚げ物・加工食品・糖分過多が続くと、巡りの悪さを感じやすくなります。
いきなりゼロにせず「週◯回まで」と現実的に減らす設計にすると続きます。
痰湿が摂りすぎ注意
甘いもの、乳製品、小麦、冷たい飲み物は溜まりやすい人がいます。
完全にやめるより、頻度を半分にする+夜は温かい汁物のように調整していきましょう。
効果を出す食べ方のコツ
温める調理が基本(冷えやすい人)
「体に良い食べ物」を活かすなら、まずは温かい調理(煮る・蒸す・汁物)を増やすのが近道です。
特に気虚・血虚・痰湿タイプは、温めるだけで胃腸が動きやすくなることがあります。
組み合わせで底上げ(気虚×血虚など)
体質は1つに決めきれないことも多いです。
たとえば「気虚×血虚」なら、
主食(米)+卵+温かいスープ のように、補う食材を“温かく・消化しやすく”まとめるのがコツです。
体調で微調整する(季節・睡眠不足・ストレス)
同じ体質でも、季節や睡眠不足で状態は変わります。
「今日は胃が重い」「喉が乾く」など、その日のサインに合わせて、温める・潤す・軽くするを微調整できると失敗が減ります。
今日からできる!体質別かんたん食べ方案
気虚向け:朝ごはん/スープ例
忙しい日ほど、おにぎり+味噌汁+ゆで卵のように“温かい+消化に良い”を優先。
スープは 鶏肉+野菜を煮るだけでも十分です。
血虚向け:間食/夜ごはん例
間食を「甘いお菓子」から、ゆで卵・黒ごま系・なつめに置き換えるだけでも整いやすいです。
夜は温かい汁物と、タンパク源を少し足す意識で。
瘀血向け:常備菜/飲み物例
玉ねぎや青魚は、作り置き・缶詰を活用すると続きます。
黒酢は“酢の物”として少量から。無理に強い刺激にしないのがポイントです。
痰湿向け:むくみ対策メニュー例
冷たい飲み物をやめて、温かいお茶に。
食事は「きのこ・大根・はとむぎ」をどこかに1つ足すだけでも、体の重さが変わる人がいます。
よくある質問(FAQ)
Q:体質が混ざっている気がします。どれを優先すべき?
A:混ざるのは普通です。いちばん困っている症状(疲れ・冷え・むくみなど)に近いタイプから、まず食材を3つだけ選んで試すのがおすすめです。
Q:どれくらいで変化を感じますか?
A:早い人は1〜2週間で「胃腸が軽い」「朝が楽」などの変化が出ます。体質改善は生活全体とセットなので、食べ方(温める等)も一緒に見直すと実感しやすいです。
Q:妊娠中・持病・薬がある場合は?
A:食材は基本的に日常の範囲であれば問題になりにくいですが、制限が必要なケースもあります。心配がある場合は医師・薬剤師に相談しつつ、刺激物や極端な制限は避けるのが安心です。
まとめ
漢方の視点では、「体に良い食べ物」は一律ではなく 体質に合わせて変わるのが基本です。
まずはセルフチェックでタイプを把握し、あなたのタイプに合う食材を 3つだけ選んで、温かい調理で取り入れてみてください。
続けやすい形に落とし込めれば、食事は“最強のセルフケア”になります。
今日からは「体に良い食べ物」を探すのではなく、“自分に合う食べ物”を選ぶことから始めてみましょう。

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