「医療保険と介護保険は両方使えないの？」
そんな疑問を持つ人は多いのではないでしょうか。
実は、医療保険と介護保険は原則として併用できないというルールがあります。
この記事では、両者の違いから併用できない理由、例外的に併用が認められるケースまで、わかりやすく解説します。
医療保険と介護保険の基本的な違い
医療保険とは？対象・給付内容を簡単に説明
医療保険は、病気やケガなどの治療を目的とした費用をカバーする制度です。
加入者が医療機関を受診した際、自己負担を軽減するために使われます。
主に健康保険組合や国民健康保険、後期高齢者医療制度などが該当します。
介護保険とは？対象・目的・サービス内容の概要
介護保険は、加齢や病気によって日常生活に介助が必要になった人を支援する制度です。
要介護認定を受けることで、訪問介護やデイサービスなど、介護サービスを自己負担1〜3割で利用できます。
両者の目的・適用範囲の違いを整理
医療保険＝「治療」目的
介護保険＝「生活支援」目的
このように、目的と適用範囲が異なるため、同じ行為に両方の保険を使うことはできません。
医療保険と介護保険が併用できない理由
給付の重複を防ぐための仕組み
両方の保険を同時に使うと、同一のサービスに対して「二重給付」になってしまう恐れがあります。
そのため、国の制度としてどちらか一方しか適用されないように設計されています。
法律上の「原則併用不可」ルール
介護保険法第8条では、介護サービスと医療行為を明確に区別しています。
同じケア内容で両方の保険を使うことは法律上できないと定められています。
医療と介護の役割分担による線引き
医療行為（点滴、投薬、創傷処置など）は医療保険、
生活援助（入浴介助、食事介助など）は介護保険が対応するという形で、役割が分けられています。
併用できない場合の具体例
入院中に介護サービスを受けられないケース
入院中は「医療行為の提供」が中心になるため、介護保険サービスは停止されます。
退院後に再び介護保険を利用することは可能です。
訪問看護・訪問介護での境界線
「訪問看護」は医療保険、「訪問介護」は介護保険と、名称が似ていますが制度が異なります。
たとえば、褥瘡（床ずれ）の処置は医療保険、掃除や買い物支援は介護保険に該当します。
介護施設入所中に医療費が発生した場合
施設内の介護サービスは介護保険が適用されますが、
インフルエンザ治療など医療行為が発生した場合は医療保険が適用されます。
つまり、同じ時間帯でも行為ごとに保険が分かれる仕組みです。
例外的に併用が認められるケース
医療的ケアが必要な在宅療養の場合
在宅療養中で医療処置（点滴・酸素療法など）が必要な場合、
一部のサービスで医療保険と介護保険を併用的に使えるケースがあります。
ターミナルケアやリハビリの一部併用
終末期医療（ターミナルケア）や退院直後のリハビリでは、
医療と介護の連携が求められるため、併用が柔軟に認められる場合があります。
自治体による判断が異なるケースも
併用の可否は自治体によって若干の運用差があります。
不明点は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに確認しましょう。
医療保険・介護保険の使い分けのポイント
「医療」が中心のとき／「介護」が中心のときの判断基準
病気の治療や医療的処置が主なら医療保険、
日常生活の支援が中心なら介護保険、という基準で判断します。
主治医・ケアマネジャーへの相談が重要
制度の境界は分かりにくいため、主治医やケアマネに早めに相談することがトラブル防止につながります。
トラブルを防ぐために確認すべき書類・手続き
サービス利用前に、「介護サービス計画書」や「診療情報提供書」を確認しましょう。
どの行為がどちらの保険に該当するかを明確にすることで、請求トラブルを防げます。
よくある質問（Q&A）
医療保険と介護保険は全く併用できないのですか？
A：原則として併用はできません。
医療保険は治療目的、介護保険は生活支援目的で制度が分かれているため、同じサービスに両方を使うことはできません。ただし、在宅療養で医療的ケアが必要な場合やリハビリの一部など、例外的に併用できるケースもあります。
入院中に介護サービスは受けられますか？
A：原則受けられません。
入院中は医療行為が中心となるため、介護保険のサービスは一時停止します。退院後に再び利用可能です。
訪問看護と訪問介護の違いは何ですか？
A：保険の種類が異なります。
- 訪問看護＝医療保険（医療行為が中心）
- 訪問介護＝介護保険（生活支援が中心）
名称は似ていますが、制度や給付範囲が異なるので注意が必要です。
介護施設に入所中でも医療保険は使えますか？
A：使える場合があります。
介護施設での生活支援は介護保険が適用されますが、病気治療や医療行為が発生した場合は医療保険での対応が可能です。行為ごとに保険を使い分けます。
どのように使い分ければいいですか？
A：医療が中心か介護が中心かで判断します。
迷った場合は主治医やケアマネジャーに相談して、どの保険でカバーすべきか確認することが重要です。
自治体によってルールは違いますか？
A：若干の違いがあります。
例外的な併用の可否は自治体や施設の運用ルールによって変わることがあります。疑問がある場合は、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談してください。
まとめ｜併用できない理由を理解して上手に制度を活用しよう
医療保険と介護保険は、それぞれ目的と対象が異なる制度です。
原則として併用はできませんが、状況によって例外的に認められるケースもあります。
迷ったときは専門職に相談し、自分にとって最も適切な制度を選ぶことが大切です。
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