2025年の「診療報酬・介護報酬の同時改定」が目前に迫り、医療や介護の現場では「給料は上がるの?」「ボーナスに影響ある?」と不安の声が広がっています。
報酬の改定は、病院や介護施設の経営だけでなく、現場スタッフの給与や処遇にも直結する重要な出来事です。
本記事では、診療報酬と介護報酬の基本的な仕組みから、改定による給与への影響、そして今後の準備・キャリア戦略まで、現場で働く方が「今知っておくべき」情報をわかりやすく解説します。
診療報酬と介護報酬の基本|そもそも何が違うの?
まず押さえておきたいのが、診療報酬と介護報酬はまったく別の制度であるという点です。
- 診療報酬:病院やクリニックなど医療機関が、診療・検査・手術などに対して受け取る報酬。
- 介護報酬:介護施設や訪問介護などが、利用者に提供した介護サービスに対して受け取る報酬。
いずれも国が定める「公定価格」であり、自由に料金を決めることはできません。
そのため、報酬の改定は事業所の収入、ひいては職員の給与や処遇に直接影響します。
また、医療は「治療を通して健康を回復させること」、介護は「生活を支えること」が目的であり、報酬の算定基準や加算要件にも違いがあります。
この違いを理解することで、改定ニュースを見たときに「自分の職場はどう影響を受けるのか」を判断しやすくなります。
2025年は「診療報酬・介護報酬の同時改定」|その背景とは?
2025年は、6年に一度の「診療報酬」と「介護報酬」の同時改定が行われます。
この同時改定には、次のような背景があります。
- 高齢化の進展により、医療と介護の連携が不可欠になっている
- 現場の人手不足や離職率の高さが社会問題化している
- 医療費・介護費の増加を抑えつつ、質を確保する必要がある
政府は「医療と介護の一体改革」を掲げ、効率化・連携強化・処遇改善をテーマに改定を進めています。
特に注目されているのが、処遇改善加算の見直しや賃上げ対応の仕組みづくりです。
つまり、今回の改定は「現場で働く人の待遇改善」が明確なテーマのひとつとなっています。
診療報酬・介護報酬の改定が給与にどう影響するのか?
報酬改定が行われると、事業所の収入構造が変化します。
その結果として、給与や手当にも波及効果が生まれます。
給与アップにつながるケース
- 新しい加算(処遇改善加算、ベースアップ加算など)を取得できる場合
- 夜勤・看護・リハビリなど専門職の評価が高まる改定内容の場合
- 働き方改革に伴う手当・時間外労働の見直しが行われる場合
注意が必要なケース
- 加算要件(ICT導入、研修実施、人員配置基準など)を満たせない場合は報酬アップが難しい
- 経営状況によっては、報酬増がそのまま給与に反映されないこともある
一般的に、改定の影響が給与に反映されるのは改定実施から3〜6か月後。
加算申請や人事制度の見直しなど、一定の時間を要するためです。
現場スタッフが今からできる3つの準備
「報酬改定」は経営者だけの問題ではありません。
現場スタッフも、少しの意識で自分の処遇を守る・高める行動ができます。
① 自分の職場がどの加算を取得しているか確認する
→ 例えば「処遇改善加算」や「ベースアップ加算」を取得していれば、給与改善が期待できます。
職場の掲示やミーティングで情報を確認してみましょう。
② スキルアップ・資格取得で加算対象職種を目指す
→ 介護職なら介護福祉士、医療職なら認定資格を持つことで加算対象になりやすくなります。
資格は「給与を上げるための最も確実な手段」です。
③ 経営層・管理者に情報共有を促す
→ 「改定でこういう加算が取れるようですよ」と共有することで、組織全体の改善にもつながります。
現場からの提案が、処遇改善の第一歩です。
給与アップを実現するためのキャリア戦略
制度改定をチャンスに変えるには、「仕組みを理解し、自分のポジションを戦略的に選ぶ」ことが重要です。
- 加算対象となる職種・役職を目指す(例:リーダー職、主任、看護職など)
- 処遇改善が厚い分野で働く(例:特養、訪問看護、リハビリ特化型施設など)
- 資格+スキルでキャリアの幅を広げる(例:ケアマネ、健康コーチング、心理支援など)
- 副業・フリーランスの道も検討する(オンライン運動指導やコーチングなど)
報酬改定は、ただ待つのではなく、自分の収入を見直す絶好のタイミングでもあります。
【Q&A】よくある質問
Q1. 改定ですぐに給料は上がるの?
→ すぐには上がりません。加算申請や給与改定の反映まで3〜6か月ほどかかります。
Q2. 看護師やリハ職にも影響ある?
→ あります。医療職の処遇改善的評価も盛り込まれる方向性で議論が進んでいます。
Q3. 小規模事業所でも影響ある?
→ 加算を取得できれば十分に恩恵があります。ただし事務負担が増える点は注意。
Q4. 給料を上げるために何をすればいい?
→ 自職場の加算状況を確認し、資格やスキルで加算対象になれるよう準備することです。
まとめ|改定をチャンスに、キャリアと収入の両立を
診療報酬・介護報酬の改定は、確かに制度が複雑でわかりにくいですが、現場スタッフの給与や働き方を左右する大きな出来事です。
「どうせ変わらない」と思って何もしないのではなく、
「制度を理解し、自分のキャリアを活かす」ことがこれからの時代に求められます。
報酬制度を味方につければ、安定した収入と働きやすい職場環境を手に入れることができます。
2025年の改定を“チャンス”と捉え、キャリアと収入の両立を目指しましょう。


コメント