PR

靴べらは必要?|無いと、靴は「ゆるいまま」履かれます

足と靴の健康
記事内に広告が含まれています。

ご自宅に伺ったとき、玄関を見ます。

靴べらが置いてある家のほうが、少なかったように思います。

無くても困らないもの、という扱いなのだと思います。ただ、無いことで起きていたことがありました。

この記事で伝えたいこと

・玄関に靴べらが無い家のほうが多かったです
・無いと、かかとを踏む・指で引っ張る・立ったままふらつく
・そして結局、ゆるいまま歩き出します
・ゆるい靴は、足を支えません
・靴べら以外にも手はあります(椅子・紐・靴そのもの)

⚠️ 玄関での転倒は、頭を打つことがあります。段差があり、床が固く、片足立ちになるからです。ふらつきが出ているときは、道具を足す前に、主治医や担当の理学療法士にご相談ください。

靴べらが無いと、何が起きていたか

靴を履くところを見ていると、いくつかの形に分かれました。

① かかとを踏む

いちばん多い形です。かかとを踏んだまま歩き出すこともあります。

かかとを踏んだ靴は、靴の中で足が前に滑ります。脱げないように指先に力が入り、歩き方が変わります。

② 指を入れて、無理に引っ張る

かかとに指を突っ込んで、ぐいと引き上げる形です。爪が当たりますし、皮膚が弱い方は切れることがあります。

③ 立ったまま履こうとして、ふらつく

これがいちばん危ない形です。

靴を履く動作は、片足立ちです。玄関は段差があり、床は固く、たいてい手すりもありません。

④ やたら時間がかかる

出かけるたびに、玄関で数分かかる。これが続くと、出かけること自体が億劫になります。

⑤ 結局、ゆるいまま歩き出す

そして、ここに行き着きます。

きちんと履けないので、ゆるいまま出かけてしまう。

本人は「履けた」と思っています。でも、かかとが入りきっていません。

ゆるい靴は、足を支えません

靴は、かかとが収まって初めて働きます。ゆるいまま履くと、靴の中で足が動きます。

・靴の中で足が前に滑る
・脱げないように、指先で引っかける
・親指のつけ根や爪に負担がかかる
・つまずきやすくなる

せっかく足に合った靴を選んでも、ゆるく履けば、支えてくれない靴と同じになります。

⚠️ ここが、介護用の靴でつまずきやすいところです。「すっと履ける靴」は履きやすい代わりに足を支えません。かといって足に合った靴は、履くのに手間がかかります。靴べらは、その手間のほうを減らす道具です。

靴べら以外にも、手はあります

実際に伝えていたのは、靴べらだけではありませんでした。

椅子に座って履く

いちばん確実で、お金もかかりません。立ったまま履くのをやめるだけで、片足立ちがなくなります。

玄関に腰かけられる台があると、それだけで変わります。段差に座るのでも構いません。

紐をゆるめてから履く

紐を結んだまま脱ぎ履きしている方は多いです。毎回ゆるめて、履いてから締め直す。手間はかかりますが、これが本来の履き方です。

紐の操作が難しい方は、面ファスナー(マジックテープ)やファスナー付きの靴に替える手もあります。

靴そのものを替える

履き口が狭い靴は、どうやっても履きにくいままです。大きく開く靴に替えるほうが早いこともあります。

靴べらは選択肢のひとつで、唯一の答えではありません。

靴べらを置くなら、長さで選びます

置いてあった家では、長い柄のものが多かったです。

理由ははっきりしています。短い靴べらは、しゃがむか座らないと使えません。

長さで、使える場面が変わります

短いもの  → 座って履く方。持ち歩きには便利
長い柄のもの → 立ったまま届く。腰を曲げるのがつらい方
・迷うなら、長いほうが使える場面は広いです

⚠️ ただし、長い靴べらがあっても、ふらつく方は座ったほうが安全です。道具で片足立ちが安定するわけではありません。

置き場所のほうが大事なことがあります

買っても、しまい込むと使われません。靴を履く場所から手が届くところに、出しっぱなしにしておくことです。

壁に掛ける、傘立てに差す、下駄箱の横に立てておく。探さずに取れる場所であれば、どこでも構いません。

使ってもらえないこともあります

正直に書きます。勧めても、使わない方はいました。

・面倒
・今までどおりでいい

どちらも、わがままではなく、もっともな言い分です。何十年も同じ履き方をしてきた方に、玄関での動作を変えてもらうのは簡単ではありません。

そういうときは、靴べらにこだわらないほうがうまくいきます。椅子を置く、靴を替える。本人が変えなくて済む方向から手を入れます。

使うようになって、変わったこと

いちばんはっきりしていたのは、これです。

かかとを踏まなくなりました。

かかとが収まれば、靴の中で足が滑りません。そこから先は、靴が本来の働きをしてくれます。

⚠️ 歩き方や転びやすさがすぐに変わるとは限りません。「きちんと履ける」が戻るだけです。ただ、そこが崩れていると、靴選びも歩き方も積み上がりません。

こんなときは、相談を

⚠️ 次のような場合は、道具を足す前に相談してください。

・玄関で転んだことがある
・片足立ちで、はっきりふらつく
・靴を履くのに、以前よりずっと時間がかかるようになった
・足の爪や皮膚に傷ができている
・かかとやくるぶしに、靴ずれや赤みがある
・足がむくんで、靴が入らない日がある

「履きにくくなった」は、足や体の変化のしるしであることがあります。むくみ、変形、動きの硬さ。道具で補う前に、何が起きているかを見てもらってください。

よくある質問

Q1 靴べらは、無くても困りませんか

多くの方は、無くても生活できています。ただ「無いから、ゆるいまま履いている」のであれば、それは困っている状態です。

かかとを踏んでいないか、一度見てみてください。

Q2 どれくらいの長さを選べばいいですか

立ったまま使いたいなら、腰をかがめずに靴のかかとへ届く長さが必要です。

実際に玄関で、使う方の手の高さから靴までを測ってみるのが確実です。短すぎると、結局しゃがむことになります。

Q3 プラスチックと金属、どちらがいいですか

どちらでも構いません。折れにくさと、持ちやすさで選んでください。

強く押し込む方は、しなりすぎないものが向きます。

Q4 本人が嫌がります

無理に使わせなくて大丈夫です。

玄関に腰かける場所を作るほうが、受け入れられやすいことがあります。「道具を使う」より「座る」のほうが、抵抗が少ないためです。

これは、高齢の方だけの話ではありません

ここまで、ご高齢の方の場面を中心に書いてきました。

ただ、かかとを踏むことで起きることは、年齢に関係ありません。

踏み潰したかかとは、元に戻りません

靴のかかとには、形を保つための芯が入っています。踏み潰すと、この芯がつぶれます。

そして、一度つぶれた芯は戻りません。

・かかとが左右に倒れるようになる
・靴の中で足が前に滑る
・靴底の減り方が片寄る
・結果として、靴の寿命が短くなる

靴べらを使うのは、足のためだけではありません。靴そのものが長持ちします。

歩き方にも出ます

かかとが決まらない靴では、足が靴の中で遊びます。脱げないように指先へ力が入り、歩き方が変わります。

⚠️ 一日二日で何か起きるわけではありません。毎日の積み重ねの話です。

年齢を問わず、使ってほしい道具です

靴べらは介護用品ではありません。靴をきちんと、長く履くための道具です。

玄関に1本あるだけで、かかとを踏む回数が減ります。足にとっても、靴にとっても意味があります。

靴がどれくらいもつのか、買い替えの目安については別の記事にまとめました。

まとめ

・玄関に靴べらが無い家のほうが多かった
・無いと、かかとを踏む/指で引っ張る/立ったままふらつく/時間がかかる
・そしてゆるいまま歩き出します
・ゆるい靴は、足を支えません
・靴べら以外に椅子・紐・靴そのものという手もあります
・置くなら長い柄。そして出しっぱなしに
・ 年齢は関係ありません。踏み潰すと靴の寿命も縮みます
・⚠️ ふらつく方は、道具より先に座るほうが安全です

靴べらは、無くても生活できる道具です。

ただ、無いせいで「ゆるいまま」になっているなら、話が変わります。

プロフィール

よこコーチ

理学療法士 / 銀座コーチングスクール認定コーチ

病院9年→クリニック2年→訪問リハビリ2年と、理学療法士として現場で多くの患者さんと向き合ってきました。
その経験をもとに、日常で取り組める健康習慣を発信しています。

👉 詳しいプロフィールはこちら

医療系免責文
【ご注意】
本記事は理学療法士としての知識・経験に基づく一般的な健康情報の提供を目的としており、医学的な診断・治療・処方に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医師または医療専門家にご相談ください。本記事の情報を利用したことによるいかなる損害についても、当ブログは一切の責任を負いかねます。
足と靴の健康