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高齢者の立ちくらみ対策|「ゆっくり」をやめて、座って10秒数える

医療・介護
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「立ち上がったときに、クラッとする」

調べると、どのページにも同じことが書かれています。「ゆっくり立ち上がりましょう」

正しいのですが、この言い方では守ってもらえないことがあります。

この記事で伝えたいこと

・「ゆっくり」は人によって長さが違います
・だから数えられる形に変えるほうが守れます
・🔸 私がやっていたのは「座って10秒」でした
・立つ前に、座った時点で分かることがあります
・⚠️ 秒数そのものより、区切りを作ることが大事です

⚠️ 立ちくらみは、転倒や失神につながることがあります。くり返すとき、気を失ったことがあるとき、頭を打ったことがあるときは、様子を見ずに医療機関を受診してください。この記事は受診の判断に代わるものではありません。

「ゆっくり立つ」は正しい。でも、守られないことがあります

横になった姿勢から急に立ち上がると、血圧が一時的に下がることがあります。年齢を重ねると、血圧を調節する働きが追いつきにくくなります。

だから「ゆっくり立ちましょう」と言われます。これは正しい説明です。

それでも、急に立つ方がいます

お伝えしても、守ってもらえないことがありました。理由は、本人のせっかちな性格です。

意地悪でも、理解していないわけでもありません。もともと動きの速い方が、急に動きを変えるのは難しいのです。

・トイレに間に合わせたい
・待つのが性に合わない
・いつもできているから大丈夫だと思っている
・そもそも「ゆっくり」がどれくらいか分からない

最後のものが、いちばん大きいと考えています。

「ゆっくり」を、数えられる長さに変える

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

私がやっていたのは「座って10秒」でした

ベッドから起きるときは、途中で座った姿勢を作ります。そこで10秒ほど待ってから立つ、という形にしていました。

「ゆっくり立ってください」ではなく、「座って10数えてから立ってください」。

言い方を変えただけですが、こちらのほうが守ってもらいやすくなります。数えるという行動があるからです。

⚠️ 10秒という数字に、決まった根拠はありません

正直に書きます。これは教科書に書かれている数字ではありません。私が現場でそうしていた、というだけのものです。

ですので、10秒が正解だと言うつもりはありません。

大事なのは、秒数ではありません

・「ゆっくり」は人によって長さが違う
・数字にすると、同じ長さになる
・数えている間は、立とうとしない
・区切りができることに意味があります

5秒でも、15秒でも構いません。その人が数えられて、毎回同じになる長さであれば十分です。

前に書いた水分の記事でも同じことを書きました。感覚が当てにならないなら、感覚に訴えるのをやめて、数字を渡す。やっていることは同じです。

立つ前に、座った時点で分かることがあります

離床するときに「今日は立たないほうがいい」と判断することがありました。見ていたのは次のようなところです。

見るところ 気にしていたこと
血圧・脈拍 いつもと比べて大きく違わないか
顔色 青白くなっていないか
本人の訴え 「クラッとする」「気持ち悪い」
座った姿勢 座っただけでふらついていないか

座っただけでふらつくなら、立ったらもっとふらつきます。

ご家族が付き添うときも、座った時点で一度止まって、様子を見ていただけると安全です。

⚠️ 血圧計がご家庭にある場合も、数値だけで判断しないでください。顔色や本人の言葉のほうが先に変わることがあります。

どこで区切るか

寝た姿勢から立つまでを、いきなりつなげないことが基本です。

区切りを作る

① 横になった状態から、体を起こして座る
② 座ったまま、数を数えて待つ
③ 足の裏が床についているか確かめる
④ つかまれるものに手をかけてから立つ

③を入れているのは、足が床に届いていないと、立ち上がりそのものが不安定になるからです。ベッドが高すぎると、つま先立ちのような状態から立つことになります。

④は、立ちくらみが起きたときの備えです。手がどこにもかかっていないと、そのまま倒れます。

夜中のトイレが、いちばん危ない場面です

急いでいて、暗くて、寝起きで、たいてい裸足です。立ちくらみの条件がそろいます。

夜のトイレが多いこと自体が気になっている場合は、原因がいくつかに分かれます。そちらは別の記事にまとめました。

立ちくらみが起きやすくなる、ほかの要素

水分が足りていないとき

体の中の水分が減ると、血圧は下がりやすくなります。高齢の方は、のどの渇きを感じにくくなっていることがあります。

水分を控えている方は、理由を聞いてみてください。「トイレが近くなるから」という答えが、いちばん多いと思います。

お風呂の前後

温まると血管が広がるため、湯船から急に立ち上がるのは、立ちくらみが起きやすい場面です。

浴槽から出るときは、いったん縁に腰かけてからにすると、区切りを作れます。

食事のあと

食後は、消化のために血液が胃腸に集まります。食べたあとすぐに立ち上がると、ふらつくことがあります。

⚠️ お薬の影響

血圧を下げるお薬や、眠るためのお薬を飲んでいる方は、その影響で立ちくらみが出ていることがあります。

自己判断で中断したり、量を変えたりしないでください。気になるときは、主治医か薬剤師にご相談ください。

こんなときは、様子を見ずに相談を

⚠️ 次のような場合は、生活の工夫で粘らず医療機関にご相談ください。

・気を失ったことがある
・立ちくらみで転んだ、頭を打った
・最近になって、急に起きるようになった
・横になっていてもめまいが続く
・胸が苦しい、動悸がする
・手足のしびれ、ろれつが回らない、ものが二重に見える
・便が黒い、貧血を指摘されている

とくに「頭を打った」ときは、あとから症状が出ることがあります。その場で平気に見えても、受診してください。

よくある質問

Q1 何秒待つのが正しいのですか

決まった秒数はありません。この記事の「10秒」も、私が現場でそうしていたというだけのものです。

大事なのは、その人が数えられて、毎回同じ長さになることです。5秒でも15秒でも構いません。

Q2 毎回ふらつくわけではありません。それでも必要ですか

毎回でなくても、起きるときは起きます。

とくに、体調を崩したあと、暑い時期、水分が足りていないときは出やすくなります。習慣にしておくほうが安全です。

Q3 せっかちな家族に、どう伝えればいいですか

「ゆっくり」と言うのをやめて、数字で伝えてみてください。

それでも難しいときは、本人を変えるより環境を変えるほうが早いことがあります。つかまれる物を置く、ベッドの高さを合わせる、夜は足元を照らす。本人が急いでも、支えがあれば倒れにくくなります。

Q4 立ちくらみは、鍛えれば治りますか

「治る」と言い切れるものではありません。ただ、足の筋肉を動かすことは血液を心臓へ戻す助けになります。

座ったままできる、かかとの上げ下ろしのような動きから始めるのが安全です。立ちくらみがある状態で、立って行う運動から始めないでください。

まとめ

・「ゆっくり立つ」は正しいが、人によって長さが違う
・だから数えられる形に変える(私は座って10秒でした)
・⚠️ 秒数に根拠はありません。区切りを作ることに意味があります
・座った時点でふらつくなら、立たない
・つかまれるものに手をかけてから立つ
・水分・入浴後・食後・お薬は、起きやすくなる要素
・⚠️ 気を失った、頭を打ったときは必ず受診を

「ゆっくり」と言われて、ゆっくりできる人ばかりではありません。

守れない指示は、言い方のほうを変えるほうが早いです。

プロフィール

よこコーチ

理学療法士 / 銀座コーチングスクール認定コーチ

病院9年→クリニック2年→訪問リハビリ2年と、理学療法士として現場で多くの患者さんと向き合ってきました。
その経験をもとに、日常で取り組める健康習慣を発信しています。

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