年末年始が近づくと、こういう言葉をよく見かけます。
「食べすぎないように」「太らないように」「健康的に過ごしましょう」。
言っていることは正しいと思います。ただ、少し窮屈だとも思うのです。一年で数日しかない時間ですから。
私は理学療法士として13年間、病院・クリニック・訪問リハビリの現場にいました。年末年始の休みが明けると、体が変わっている方がいます。
そして、そこで気づいたことがあります。
いちばん先に落ちているのは、体重ではありませんでした。
【この記事でわかること】
✅ 正月明けに、体のどこから落ちるのか
✅ 休みは7日でも、戻すのに2週間かかるという話
✅ それでもリフレッシュできていた方に共通していたこと
✅ 冬至から七草粥までの過ごし方(カレンダーにまとめました)
✅ 1月4日からの、体の戻し方
正月明け、いちばん先に落ちているのは「踏ん張り」
体重が増えている方は、たしかにいます。むくんでいる方も、体が硬くなっている方もいます。
ただ、私がいちばん気になっていたのは力の出方でした。
踏ん張りが弱くなっている。
気づくのは、決まってこの3つの場面でした。
・立ち上がるとき——お尻が持ち上がりにくい
・歩くとき、とくに段差——片脚で支える一瞬がふらつく
・体操や運動のとき——最後まで力が入りきらない
本人は「なまったなあ」とおっしゃいます。実際、そのとおりです。
ただ、これはだらしないからではありません。数日動かない日が続けば、誰にでも起きます。
なぜ、数日でそうなるのか
「たった数日で筋肉が落ちるのか」と思われるかもしれません。
そこが少し違います。落ちているのは、筋肉そのものより先に「力の入れ方」です。
体は、使っている動きをよく覚えています。毎日立ち上がっていれば、どこにどう力を入れれば立てるかを、考えなくてもできます。
ところが数日それをやめると、その手順が少し鈍ります。筋肉は残っていても、使い方のほうが先に錆びるのです。
だから戻すときも、いきなり鍛える必要はありません。まず「いつもの動き」をやり直すことから始まります。
🔗 動かないと、お腹にも同じことが起きます
力が出なくなるのは脚だけではありません。お腹が張ると、そもそも力の土台が使えなくなります。
休みは7日。戻すのに2週間
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
正月明けに鈍った体が元に戻るまで、私が見てきた範囲では2週間前後かかっていました。
休みは1週間ほどです。それなのに、戻すほうが長くかかる。
休んだ日数 7日
↓
戻すのにかかる日数 2週間前後
これは「だから休むな」という話ではありません。知っておくと、焦らずに済むという話です。
仕事始めの日に体が動かなくても、それは普通のことです。その週のうちに元通りにしようとすると、たいてい無理が出ます。
※ この2週間という日数は、私が現場で見てきた実感です。統計をとったものではありませんし、もともとの体力や年齢、どう過ごしたかによって変わります。
それでも、リフレッシュできていた方はいました
ここまで読むと、年末年始が体に悪いことばかりのように聞こえるかもしれません。
そうではありませんでした。
休み明けに、明らかに調子がよくなっている方もいらっしゃいました。表情が違います。話す言葉の量が違います。
そういう方に共通していたことが、ひとつあります。
ゆっくり寝られたこと。
特別なことは何もしていません。どこかへ出かけたわけでもない。ただ、よく眠れていた。
逆に、休んだはずなのに疲れが残っている方もいます。話を聞くと、生活の時間がすっかりずれていたり、昼と夜が逆になっていたりしました。
同じ「休む」でも、中身が違ったのだと思います。
🔗 眠ることは、休むことの中心です
だから「休むな」ではなく、「どう休むか」
寝正月という言葉には、なんとなく後ろめたい響きがあります。
けれど寝ること自体は、悪くありません。疲れている体には必要なことです。
問題になるのは、別のところにあります。
・一日も体を起こさない日が続くこと
・起きる時間・寝る時間が大きくずれること
・昼と夜が逆になること
寝る時間が長いことより、生活の時間そのものがずれることのほうが、あとに響きます。
一日のどこかで起き上がって、少し動く。それだけで、ずれ方はかなり違ってきます。
🔗 生活の時間がずれると、戻すのに時間がかかります
年末年始カレンダー|冬至から七草粥まで
ここからは、年末年始の過ごし方を日付の順にまとめます。
それぞれ詳しく書いた記事がありますので、気になるところから読んでみてください。
12月22日ごろ
【冬至にやること】これだけでOK!風習・食べ物・開運習慣まとめ
一年でいちばん昼が短い日。ゆず湯とかぼちゃの意味、そして「温める・食べる・休む」という過ごし方を。
12月31日
大晦日にやると開運につながる習慣10選|心と暮らしを整えて新年スタート
一年を締める日。全部やろうとすると疲れるので、「マイルール」の決め方も書いています。
1月1日の朝
元旦にやると運気が上がる朝習慣7選|新しい一年のスタートダッシュ
朝の過ごし方は、その日一日の流れを決めます。7つ全部できない方へ「これだけでOK」も。
1月1日〜3日
三が日は、意外と疲れます。人に会い、片づけ、食事の支度が続くからです。「やめること」のほうが効きます。
休みのあいだ・その1
寝正月は悪ではありません。ただ、回復につながる休み方とそうでない休み方があります。
休みのあいだ・その2
我慢する話ではありません。「食べながら」体がラクになる食べ方と、翌日の調整のしかたを。
1月7日
七草粥の効能は本当?栄養・健康効果と注意点をわかりやすく解説
「胃を休める」と言われますが、どこまで本当なのか。栄養の面から整理しました。
こうして並べてみると、年末年始は「温めて、食べて、休んで、また戻す」という流れになっていることがわかります。
昔の人が決めた行事が、いまも残っているのには理由があるのだと思います。
1月4日から、戻していく
さて、仕事始めです。
ここで大事なのは、一気に戻そうとしないことです。
先ほど書いたとおり、戻るには2週間ほどかかります。初日から元通りに動けなくて当たり前です。
順番があります
① まず、立つ・歩く——鈍っているのは「いつもの動き」なので、そこから戻す
② 次に、伸ばす——硬くなっているところをゆっくり
③ 最後に、強くする——筋トレはここ。いきなり①を飛ばさない
よくあるのが、正月太りを気にしていきなり③から始めてしまうことです。
踏ん張りが鈍っている状態で急に負荷をかけると、腰や膝を痛めます。①からです。
寒い時期だから、気をつけたいこと
年末年始は、一年でいちばん寒い時期と重なります。
この時期に増えるのが、お風呂での事故です。暖かい部屋から寒い脱衣所へ、そして熱い湯船へ——この温度差が体に負担をかけます。
とくに、お酒を飲んだあとの入浴は避けてください。年末年始はその機会が増えます。
とはいえ、自分の過ごしたいように過ごしていい
ここまで、いろいろ書いてきました。
食べすぎないこと。寝正月にならないよう、少しは体を動かすこと。生活の時間をあまりずらさないこと。
私も現場では、そうお伝えしていました。
——ただ、最後にいつも、こう付け加えていました。
とはいえ、自分の過ごしたいように過ごしてください。
一年で数日しかない時間です。我慢するためにある時間ではありません。
食べたいものを食べて、眠りたいだけ眠って、会いたい人に会う。それでいいと思っています。
この記事で戻し方を書いたのは、そのためです。
戻し方を知っていれば、思い切り休めます。「これをやったら元に戻らないのではないか」と怯えながら過ごすほうが、よほど体に悪いはずです。
2週間かければ戻ります。それだけ分かっていれば十分です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 正月太りは、すぐに戻したほうがいいですか?
A. 急がなくて大丈夫です。むしろ急に食事を減らすと、体力のほうが先に落ちます。まず生活の時間を戻し、動く量を戻す。体重はそのあとについてきます。
Q2. 何日くらい寝ても大丈夫ですか?
A. 時間の長さより、「一日のどこかで起き上がるかどうか」のほうが大事です。長く寝た日でも、日中に一度は体を起こして動いておくと、あとが違います。
Q3. 高齢の親が正月のあいだ動かなくて心配です。
A. 数日でも、動かない日が続くと立ち上がりが鈍ります。特別な運動は要りません。椅子に座る時間を作る、一緒に家の中を歩く、それだけでも違います。心配なときは、担当のケアマネジャーや訪問リハビリに相談してください。
Q4. 仕事始めから体が動きません。どこかおかしいのでしょうか?
A. 数日休めば誰でも鈍ります。2週間かけて戻すつもりでいてください。ただし、痛みがある・しびれるなど、鈍さとは違う症状があるときは受診してください。
Q5. 運動を再開するなら、何からですか?
A. 歩くことからです。筋トレやランニングは、そのあとで構いません。鈍っているのは筋肉そのものより「動きの手順」なので、いつもの動きから戻すのがいちばん早道です。
まとめ
・正月明けに先に落ちるのは体重ではなく、踏ん張り(立ち上がり・段差・運動で気づく)
・落ちているのは筋肉より先に「力の入れ方」。だから戻すのも、いつもの動きから
・休みは7日でも、戻すのに2週間前後かかる。焦らない
・リフレッシュできていた方に共通していたのは「ゆっくり寝られたこと」
・戻す順番は ①立つ・歩く → ②伸ばす → ③強くする
・とはいえ、自分の過ごしたいように過ごしていい
年末年始の記事を読むと、たいてい「気をつけましょう」という話で終わります。
でも私は、思い切り休んでいいと思っています。
そのかわり、戻し方だけ持っておいてください。それがあれば、後ろめたさなしに休めます。
よいお年を。

