足がつったとき、どこを伸ばせばいい?|「ふくらはぎ」だけじゃない部位別の対処法

体の不調・セルフケア
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夜中に、ふくらはぎが突然つって飛び起きた。

痛みで動けず、どうしていいか分からないまま、おさまるのを待つしかなかった——。

そんな経験はありませんか。

私は理学療法士として13年間、病院・クリニック・訪問リハビリの現場で多くの方の体を見てきました。こむら返りの相談は、実を言うとそう多くはありません。けれど受けたときには、決まって夜から朝にかけて起きたという話でした。

そして相談してこられたのは、高齢の方だけではありません。30代・40代の方もいらっしゃいます。

この記事では、つってしまったときの対処と、繰り返さないための習慣をお伝えします。

【この記事でわかること】

✅ つったとき、どこをどう伸ばせばいいのか(部位ごとに違います)
✅ やってはいけない伸ばし方
✅ 繰り返さないための5つの習慣
✅ 病院に行ったほうがいい場合の目安

つったときの対処は、ひとつだけ

まず、いちばん知りたいところからお答えします。

伸ばしてください。

こむら返りは、筋肉が縮んだまま戻らなくなっている状態です。ですから、その筋肉を伸ばす方向に動かす——これが対処のすべてです。

さすったり温めたりするのは、おさまったあとで構いません。まずは伸ばすことです。

ただし、「つま先を持ち上げる」が正解とは限りません

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

こむら返りの対処法を調べると、たいてい「つま先を手前に引く」と書かれています。

間違いではありません。ただし、それはふくらはぎがつった場合の話です。

足がつるのは、ふくらはぎだけではありません。

ふくらはぎ(いわゆる「こむら」)
足の裏
すね(向こうずね)
太もも(前・裏)

そして伸ばす方向は、つった場所によって変わります。

原則はひとつだけです。

縮んでいる筋肉を、伸ばす方向へ動かす。

これさえ分かっていれば、どこがつっても対応できます。以下、部位ごとに見ていきます。

ふくらはぎがつったとき

ふくらはぎの筋肉は、つま先を下に向ける(足首を伸ばす)ときに縮みます。

ですから、伸ばすのは逆方向です。

つま先を手前(すねのほう)に引き寄せます。

座ったまま手が届くなら、足の指のつけ根あたりを持って、ゆっくり手前に引いてください。届かないなら、壁に足の裏をつけて体重をかける方法でも構いません。

足の裏がつったとき

土踏まずのあたりがつることがあります。

足の裏の筋肉は、足の指を曲げるときに縮みます。

ですから、足の指を反らせる方向——指を甲側へ、ゆっくり起こしてください。

すねがつったとき

すねの前側がつるのは、意外に思われるかもしれませんが、起こります。

この筋肉は、つま先を持ち上げるときに縮みます。ふくらはぎとは逆です。

ですから伸ばす方向も逆で、つま先を下に向けます。

——ここでお気づきでしょうか。すねがつったときに「つま先を手前に引く」をやってしまうと、逆効果です。縮んでいる筋肉を、さらに縮めることになります。

だから「つった場所を確かめる」ことが先なのです。

太ももがつったとき

裏側(もも裏)がつったなら、膝を伸ばして、股関節から前に倒れるように——前屈の姿勢で伸びます。

前側がつったなら、逆に膝を曲げて、かかとをお尻に近づけます。

やってはいけない伸ばし方

方向が合っていても、やり方を間違えると別のトラブルになります。

気をつけたいこと

急に、強く伸ばさない。反動をつけない
ゆっくり、じわじわと。おさまるまで待つ
・伸ばしても改善せず、強い痛みが続くときは無理に続けない

つっている最中の筋肉は、無理に引っ張れば傷めます。「ゆっくり伸ばして、ゆるむのを待つ」——これが基本です。

繰り返さないための5つの習慣

一度つると、また来るのではないかと不安になります。ここからは、日ごろできることをお伝えします。

① ストレッチをする

いちばん基本です。いつやるかを決めておくと続きます。

朝起きてから
運動の前と後
寝る前

伸ばすのは、硬いと感じる場所、あるいはつりやすい場所です。ふくらはぎがつるなら、ふくらはぎを重点的に。

そして、できれば全身を伸ばしてください。足だけの問題として扱わないほうが、結果的に楽になります。

🔗 どこをどう伸ばすか、迷ったら

部位別・目的別のストレッチをまとめています。全身を通してやりたい方はこちらから。

② 水分をしっかりとる

つったときだけでなく、普段からとることが大事です。

寝ている間は汗をかきます。夜から朝にかけてつりやすいのは、そこと無関係ではないと考えられています。

ただし、寝る直前に大量に飲むと、今度はトイレで起きることになります。日中からこまめにが現実的です。

③ 冷やさない。ただし締めつけない

脚を冷やさない工夫は有効です。靴下、レッグウォーマー、寝具——方法は何でも構いません。

ただし、ひとつ条件があります。

締めつけすぎないこと。

きつすぎるものを長時間つけると、かえって血のめぐりを妨げます。「温かいけれど、ゆるい」——この範囲でやってください。

🔗 着圧ソックスを使うなら、選び方に注意

圧の強さや、昼用と夜用の違いがあります。締めつけすぎは逆効果なので、選び方を確認してから使ってください。

④ 足に合った靴を履き、足に合わせて紐を結ぶ

ここは、私がいちばん力を入れて伝えている部分です。

合わない靴で一日過ごすと、足やふくらはぎは余計な働きを強いられます。靴の中で足が滑れば、それを止めるために筋肉が働き続けるからです。

そして見落とされがちなのが、紐です。

正しいサイズの靴を買っても、紐を結んでいなければ意味がありません。毎回きちんと結び直している方は、実はそう多くありません。

🔗 靴紐の結び方で、脚の負担は変わります

履き方と結び方だけで、歩きやすさは変わります。今日から直せる部分です。

⑤ 寝具を見直す

体型や姿勢に合っていない寝具を使っていると、寝ている間じゅう、どこかに無理がかかります。

マットレスの硬さ、枕の高さ——自分の体に合っているかという視点で一度見直してみてください。

🔗 朝、体が痛い人へ

寝具が合っていないサインは、朝の体に出ます。こむら返り以外にも心当たりがあれば、こちらを。

病院に行ったほうがいい場合

こむら返りの多くは、命に関わるものではありません。ただし、繰り返す場合は別です。

受診を考えたい目安

毎晩のように起きて、眠れない
週に1回以上が、長く続いている
少し歩くと脚が痛くなり、休まないと歩けない
・しびれや、脚のむくみを伴う

頻繁に起こる場合、その背景に別の原因が隠れていることがあります。医療機関では、下肢静脈瘤、腰部脊柱管狭窄症、糖尿病、腎機能の問題、体内の電解質のバランスなどが挙げられています。

また、飲んでいる薬が影響していることもあります。心当たりがあれば、処方した医師や薬剤師にご相談ください。

何科に行けばいいか

まずは整形外科が基本です。筋肉の異常な収縮という現象そのものを診てもらえます。

ただし、上に挙げた「歩くと痛くなって休む」に当てはまる場合は、血管の問題が疑われることがあるため、血管外科や内科を勧められることもあります。

迷うようであれば、まずはかかりつけの先生に相談してください。何科に行くべきかを判断してもらうために受診する——それでいいと思います。

体のことを、もう少し深く知りたい方へ

この記事で「靴」と「紐」の話をしました。足やふくらはぎの負担は、履いているものでずいぶん変わります。

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まとめ

✅ つったときは伸ばす。原則は「縮んでいる筋肉を、伸ばす方向へ
「つま先を手前に引く」はふくらはぎの場合だけ。すねがつったときは逆方向
✅ 足の裏なら指を反らせる、もも裏なら前屈、もも前なら膝を曲げる
急に強く伸ばさない。ゆっくり、ゆるむまで待つ
✅ 予防はストレッチ・水分・冷え対策・靴と紐・寝具の5つ
毎晩起きる、週1回以上が続く、歩くと痛いなら受診を

足がつるのは、めずらしいことではありません。『傷寒論』という1800年前の中国の医学書にも、足のけいれんに用いる処方が記されています。大昔から、人は同じことで困っていたわけです。

ただ、対処の仕方は選べます。つった場所を確かめて、その筋肉を伸ばす。それだけ覚えておけば、次に来たときあわてずに済みます。

🔗 1800年前の処方の話

東洋医学の柱は薬だけではありませんでした。3本目の柱は「体を動かすこと」です。300年前の日本の健康書には「座りすぎるな」と書かれています。

よくある質問(Q&A)

Q1. つっている最中、痛くて伸ばせません。どうすれば?

無理に力任せに伸ばす必要はありません。ゆっくり、少しずつで構いません。壁に足の裏をつけて、体重をかける程度でも伸びます。おさまってから、あらためて優しく伸ばしてください。

Q2. つったあと、しばらく痛みが残ります。大丈夫でしょうか?

強くつったあとに、筋肉痛のような痛みが数日残ることはあります。ただし、腫れる・熱をもつ・じっとしていても痛いという場合は別です。医療機関にご相談ください。

Q3. 運動している人のほうが、つりやすいですか?

運動する方も、ほとんど動かない方も、どちらにも起こります。使いすぎても、使わなすぎても起こると考えておくのがよいと思います。実際、私が相談を受けたのは高齢の方と、30代・40代の働いている方でした。

Q4. 水分はどれくらい飲めばいいですか?

一律の目安をお伝えするのは難しいです。体格も、活動量も、季節も違うからです。ただ「普段から、こまめに」という原則は変わりません。寝る直前にまとめて飲むと、今度はトイレで目が覚めてしまいます。持病があって水分量を制限されている方は、必ず主治医の指示に従ってください。

Q5. 予防のストレッチは、いつやるのがいちばんいいですか?

1回だけ選ぶなら寝る前です。夜から朝にかけて起こることが多いからです。ただ、朝と運動の前後もあわせてやれるなら、そのほうがいいと思います。