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腸活は食べ物だけじゃない|「動かないと腸も止まる」を理学療法士が解説

体の不調・セルフケア
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「腸活」と聞いて、何を思い浮かべますか。

ヨーグルト、納豆、味噌、食物繊維——。たいていは食べ物だと思います。

私は理学療法士として13年間、病院・クリニック・訪問リハビリの現場で多くの方の体を見てきました。その中で、お腹のことで困っている方をたくさん見てきました。

そして気づいたことがあります。

便秘の方がいちばん多かったのは、入院中の方でした。

病院には管理栄養士がいます。食物繊維も水分も計算された食事が、毎日三食きちんと出てきます。家で食べているものより、よほど整っているはずです。

それなのに、出ない。

——食べ物だけの話ではないのではないか。そう思うようになりました。

【この記事でわかること】

✅ 食事が整っているのに便秘になる理由
お腹が張ると「力が入らなくなる」仕組み(ここがこの記事の核です)
✅ 動くことと腸の関係
✅ 座りっぱなしの方・ご家族を介護している方が、今日からできること
✅ 病院に行ったほうがいい場合の目安

病院で、便秘の方がいちばん多かった

あらためて振り返ってみると、私が見てきた中で便秘の相談がいちばん多かったのは、入院中の方でした。

これはあくまで私の印象で、統計をとったわけではありません。ただ、現場にいた者としての実感です。

そしてもうひとつ、はっきり感じていたことがあります。

生活の中で動きが少ない方に多い。

同じ病棟で、同じ食事を食べていても、差が出ます。自分で歩いてトイレに行ける方と、ベッドで過ごす時間が長い方。後者のほうが、お腹のことで困っている印象がありました。

食事が同じなら、違うのは動いているかどうかです。

患者さんがいちばん言っていたのは「出ない」ではなかった

意外に思われるかもしれません。

お腹のことで困っている方が口にされるのは、「出ない」よりも先に、こちらでした。

お腹が張る。

「出ない」は結果の話です。でも本人が感じているのは、いま、この瞬間の苦しさ——お腹が張っている、重い、という感覚です。

そして張っていると、食欲が落ちます。食べられないから体力も落ちます。

逆に、出た日は調子がいい。表情が変わります。リハビリにも前向きになります。

お腹の状態は、その日の体調をまるごと左右していました。

お腹が張ると、力が入らなくなる

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

私がそれに気づいたのは、体操や運動をしているときでした。

お腹が張っている方は、思いっきり力が入らないのです。

なぜ力が入らないのか

体に力を入れるとき、人は無意識にあることをしています。

お腹を固めています。

重い物を持ち上げるとき。立ち上がるとき。踏ん張るとき。咳をするとき。——いずれも、まず息を軽く止めて、お腹の中の圧を高めています。

お腹は、力を出すための土台なのです。土台が固まらなければ、手足にも力が伝わりません。

力を入れるときの順番

① 息を軽く止める
お腹の中の圧が高まる
③ 体の幹が安定する
④ 手足に力が伝わる

ところが、お腹が張っているときは、この②ができません。

すでに内側から押されている状態なので、それ以上締める余地がないのです。風船がふくらみきっていたら、それ以上は握れません。

だから力が入らない。だから立ち上がりにくい。だから動きにくい。

便秘は「お腹の問題」で終わりません。体全体が動きにくくなります。

これは、一般的な腸活の記事にはあまり書かれていない話だと思います。けれど現場では、はっきり見えていたことでした。

動かないと、腸も動かない

では、なぜ動かないと出なくなるのでしょうか。

腸は、自分で動いています。中身を先へ先へと送り出す動きを、絶えず繰り返しています。意識しなくても働いてくれる臓器です。

ただ、それだけではありません。腸は、外からも刺激を受けています。

歩く——体が上下に揺れ、お腹の中も揺れる
体をひねる——腸が内側から押される
立つ・座る——お腹のまわりの筋肉が働く
深く呼吸する——横隔膜が上下して、お腹の中が動く

日常の動きは、すべてお腹の中を物理的に動かしています。

寝たきりの状態や、座りっぱなしの状態では、この刺激がほとんどゼロになります。

もうひとつ、自律神経の関わりもあるとされています。腸がよく働くのは、体が休んでいるとき——リラックスしているときです。ところが日中ずっと同じ姿勢で緊張していると、この切り替えがうまくいかなくなると言われています。

※ここは私の専門の外になりますので、断定は避けます。気になる方は消化器内科で相談してみてください。

ただ、動くことがお腹の中を動かしている——これは体の仕組みとしてはっきり言えることです。

だから、悪循環になります

ここまでを、ひとつにつなげます。

動かない

腸も動かない

お腹が張る

力が入らない

ますます動けない

(ふりだしに戻る)

入院中の方に便秘が多かった理由は、ここにあると思っています。

病気やけがで動けなくなる。動かないから腸が止まる。お腹が張る。張ると力が入らないので、リハビリも思うように進まない。進まないから、また動けない。

この輪は、どこか一か所を切らないと止まりません。

そして、いちばん切りやすいのは「動く」のところです。食べ物を変えるより早く、自分で決められます。

座りっぱなしの方も、同じことが起きています

ここまで入院中の話をしてきましたが、これは病院の中だけの話ではありません。

デスクワーク、長距離の運転、在宅勤務——座っている時間が長い方には、同じことが起きています。

座っているあいだ、お腹の中はほとんど動いていません。しかも座り方が崩れて前に丸まると、お腹は折りたたまれたような状態になります。

どれくらいの間隔で立てばいいのか

目安をお伝えします。

・できれば30分に1回
・少なくとも1時間に1回は立つ

立ち上がって、少し歩く。それだけでお腹の中は動きます。トイレに行く、飲み物を取りに行く——用事をつくってしまうのがいちばん続きます。

ちなみに、この「座りすぎるな」という話は、今はじめて言われたことではありません。

江戸時代の健康書にも、同じことが書かれています。300年以上前の本です。

🔗 300年前から言われていたこと

貝原益軒の『養生訓』には「座りすぎるな」とはっきり書かれています。漢方の歴史とあわせてまとめました。

ご家族を介護している方へ

ここは、介護をされている方に向けて書きます。

お腹のことは、介護の現場でとても大きな問題です。そして食事だけでは解決しないことが多いのも、ここまで書いてきたとおりです。

ベッドから起こすことには、意味があります

「離床」という言葉を、聞いたことがあるかもしれません。ベッドから離れる、という意味です。

リハビリの現場では、これをとても大事にします。起きるだけで、体の中で起きていることが変わるからです。

寝たままの姿勢と、座った姿勢では、お腹にかかる重力の向きが変わります。それだけでも腸への刺激になります。

ただし「座っている」=「動いている」ではありません

ここは誤解されやすいところです。

車椅子に座って何時間も過ごしていても、体が動いていなければ、お腹の中も動きません。

歩けない方でも、できることがあります。

寝返りを自分でしてもらう(できなければ介助して体の向きを変える)
・座ったまま体を左右にひねる
深い呼吸をしてもらう
・立てる方なら、立つだけでも意味があります

大きな運動でなくて構いません。体の向きが変わることが大事です。

🔗 在宅でリハビリを受けることもできます

「どう動かしてあげればいいか分からない」という場合は、専門職が自宅に来る方法があります。

今日からできること

順番に挙げます。上から順に、効果が大きいと考えているものです。

① 歩く

いちばん強い方法です。

歩くと、体が上下に揺れます。お腹のまわりの筋肉も働きます。腸にとって、これ以上の刺激はありません。

時間の長さより、毎日あることのほうが効きます。10分でも構いません。

② 体をひねる

座ったままでもできます。

椅子に座って、上半身をゆっくり左右にひねってください。勢いはつけません。息を吐きながら、じわじわと。

お腹が内側から押されます。それが刺激になります。

③ 深く呼吸する

意外かもしれませんが、呼吸もお腹を動かします。

息を吸うと横隔膜が下がり、お腹の中が押されます。吐くと戻ります。深い呼吸は、内側からのマッサージのようなものです。

そして呼吸は力を抜くほうから入れます。まず、ゆっくり吐ききってみてください。吸うのは自然に入ってきます。

④ 朝、水を一杯飲む

起きてすぐの一杯は、お腹を動かすきっかけになります。

⑤ 食べ物も、もちろん大事です

ここまで「食べ物だけではない」と書いてきましたが、食べ物が関係ないという意味ではありません。

食物繊維、水分、発酵食品——どれも大事です。ただ、そこはすでに多くの情報があります。そして私の専門ではありません。

ですので、食事についてはこちらにまとめた記事をご覧ください。

それでも出ないときは

ここまで書いてきたことは、日ごろの習慣の話です。習慣は、効くまでに時間がかかります。

そして、習慣では解決しない場合もあります。

こんなときは受診してください

急に変わった(これまで普通だったのに、突然出なくなった)
血が混じる
お腹の痛みが強い
体重が減ってきている
・吐き気がある
・1週間以上まったく出ない

とくに「急に変わった」は大事なサインです。長年の便秘と、急に始まった便秘は、意味が違います。

相談先は消化器内科です。かかりつけの先生がいれば、まずそちらでも構いません。

そして、ひとつだけお伝えしたいことがあります。

薬に頼るのは、悪いことではありません。

「自然に出したい」という気持ちは分かります。けれど、出ないまま我慢しているあいだに食欲が落ち、体力が落ち、動けなくなる——そのほうが体にはよくありません。

薬で整えながら、並行して習慣を変えていく。これがいちばん現実的です。そこは医師や薬剤師に相談してください。

よくある質問(Q&A)

Q1. どれくらい歩けば効果がありますか?

A. 時間よりも毎日あることが大事です。10分からで構いません。続けられる長さにしてください。

Q2. 運動すれば、食べ物は気にしなくていいですか?

A. いいえ。どちらも必要です。この記事は「食べ物だけでは足りない」という話で、「食べ物は要らない」という話ではありません。

Q3. お腹が張っているとき、マッサージしてもいいですか?

A. 強く押すのは避けてください。痛みがあるときは何もせず、受診してください。お腹は力任せに扱う場所ではありません。

Q4. 寝たきりの家族がいます。何から始めればいいですか?

A. 体の向きを変えることからです。寝返り、または介助で左右に向きを変える。それだけでも変わります。やり方が分からなければ、担当のケアマネジャーや訪問看護・訪問リハビリに相談してください。

Q5. 座る姿勢は関係ありますか?

A. あります。前に丸まって座ると、お腹が折りたたまれた状態になります。骨盤を立てて座るほうがお腹は楽です。ただし、同じ姿勢を続けないことのほうが大事です。

Q6. 運動すると、かえってお腹が苦しくなります。

A. 張りが強いときに激しく動くと、苦しくなることがあります。その場合は歩く・ひねる・呼吸のような、ゆるやかなものから始めてください。

まとめ

最後にもう一度、整理します。

・病院食が整っているのに便秘になる。食べ物だけの話ではない
動かないと、腸も動かない。歩く・ひねる・呼吸が、お腹の中を動かしている
お腹が張ると、力が入らなくなる。便秘はお腹の問題で終わらない
・だから悪循環になる。切りやすいのは「動く」のところ
・急に変わった・血が混じる・痛みが強いときは受診を

腸活という言葉を聞くと、何を食べるかの話になりがちです。

けれど私が現場で見てきたのは、同じものを食べていても、動いている人と動いていない人で差が出るという事実でした。

食べ物を変えるのは、明日の買い物からです。動くのは、今からできます。

まずは立ち上がって、少し歩いてみてください。

プロフィール

よこコーチ

理学療法士 / 銀座コーチングスクール認定コーチ

病院9年→クリニック2年→訪問リハビリ2年と、理学療法士として現場で多くの患者さんと向き合ってきました。
その経験をもとに、日常で取り組める健康習慣を発信しています。

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本記事は理学療法士としての知識・経験に基づく一般的な健康情報の提供を目的としており、医学的な診断・治療・処方に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医師または医療専門家にご相談ください。本記事の情報を利用したことによるいかなる損害についても、当ブログは一切の責任を負いかねます。
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