胃もたれについて、正直に書きます。
私は理学療法士として13年間、病院・クリニック・訪問リハビリの現場にいました。けれど胃もたれの相談を受けたことは、実はあまりありません。体の痛みや歩きにくさの相談がほとんどでした。
ではなぜ書くのか。
私自身が、胃もたれに悩んでいるからです。
脂っこいものを減らしました。ゆっくり噛むようにしました。食べる量も減らしました。市販の胃薬も飲みました。——それでも、続いています。
ところが先日、思ってもみないことが起きました。
【この記事でわかること】
✅ 「食後」ではなく「食事中」から辛くなることの意味
✅ 脂っこいものを避けても治らなかった理由
✅ 量も内容も重い飲み会の日に、なぜか平気だった話
✅ 理学療法士として言えること/言えないこと
✅ 病院に行く目安
理学療法士ですが、私も胃もたれします
「専門家なんだから、自分の体くらい管理できるでしょう」と思われるかもしれません。
できていません。
体の動かし方や、筋肉のことは分かります。けれど胃は、私の専門ではありません。リハビリの現場で扱うのは主に運動器——骨や関節や筋肉です。内臓のことは、医師や薬剤師のほうがずっと詳しい。
だからこの記事は、「専門家が教える」記事ではありません。困っている一人として書きます。
「食後」ではなく「食事中」から辛くなる
最初に気づいたのは、タイミングでした。
胃もたれというと、食べ終わったあとにくるものだと思っていました。食べすぎて、消化が追いつかなくて、しばらくしてから重くなる——そういうイメージです。
ところが私の場合、食事の途中から辛くなってきます。
まだ半分も食べていないのに、もう重い。
ここで、ひとつ引っかかりました。
消化が本格的に始まる前に症状が出ているなら、「消化が追いつかない」という説明では足りないのではないか。
食べ物の量や脂の多さだけでは、説明がつかない気がしたのです。
脂っこいものを避けても、治らなかった
それでも最初は、王道の対策から試しました。
・ゆっくり、よく噛んで食べる
・食べすぎない
・脂っこいもの、消化の悪そうなものを減らす
・市販の胃薬を飲む
どれも、よく言われていることです。そしてどれも間違っていません。
実際、少しは楽になった気もします。ただ——なくなりはしませんでした。
「気をつけているのに治らない」というのは、なかなかこたえます。もう打つ手がないように思えてきます。
🔗 症状別の食事については、こちらにまとめています
ところが、飲み会では平気だった
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
先日、大学の同級生と食事に行きました。前に会ったのは忘年会なので、半年以上ぶりです。
食べたものを並べてみます。
・ビシソワーズ
・焼き鳥
・馬刺し
・お茶漬け
お酒も飲みました。時間は3時間ほど。
量も内容も、普段より明らかに重いはずです。気をつけている日より、よほど胃に負担がかかりそうなメニューです。
それなのに——
ほとんど気にならなかったのです。
気をつけている日はもたれて、気にしなかった日は平気だった。これはどういうことだろう、と考えました。
違いは何だったのか
食べ物ではありません。むしろ逆です。
では何が違ったのか。思い当たることが、3つありました。
① 時間が長かった
3時間です。普段の食事は、その何分の一でしょうか。
同じ量を食べても、3時間かけるのと20分で終えるのとでは、体にとってまったく違う出来事のはずです。
② 笑っていた
久しぶりに会った同級生です。ずっと笑っていました。
③ ——気を使っていなかった
これが、いちばん大きかったと思います。
子どもが生まれてから、ゆっくり食べられる食事が減っていました。
いつ泣くか分からない。泣いたら中断する。だから、食べられるうちに食べておく。気づけば、かき込むように食べるのが普通になっていました。
——ここで、ようやく分かりました。
私の早食いは、癖ではなく状況でした。
「ゆっくりよく噛んで食べましょう」という助言は正しい。けれどゆっくり食べられない状況にいる人に、それを言っても解決しません。私はまさに、それでした。
そしてあの日は、その状況から3時間だけ離れていた。大学生の気分に戻っていたのだと思います。
胃と「気の張り」の関係
ここからは、一般に言われていることを書きます。
胃や腸の働きは、自律神経の影響を受けているとされています。体がゆるんでいるときには消化のはたらきが活発になり、緊張しているときには鈍くなる、と説明されます。
「緊張するとお腹が痛くなる」「大事な発表の前は食欲がない」——多くの方に経験があると思います。あれと同じ仕組みです。
※ここは私の専門の外になりますので、断定は避けます。詳しくは消化器内科で相談してみてください。
ただ、自分の体で起きたことを並べると、この説明は腑に落ちました。
🔗 ストレスは、体のいろいろな場所に出ます
理学療法士として、言えること
胃そのものは専門外ですが、体の使い方なら分かります。ここだけは、専門の話として書きます。
前かがみで食べると、お腹が折りたたまれる
テーブルに覆いかぶさるような姿勢で食べていませんか。
背中が丸まると、みぞおちのあたりが物理的に圧迫されます。お腹のスペースが狭くなった状態に、食べ物を入れていくことになります。
椅子に深く座って、骨盤を立てる。それだけでお腹まわりは楽になります。
お腹が張ると、力が入らなくなる
これは別の記事にも書きましたが、お腹は「力を出すための土台」です。
張っているときは、その土台が使えません。胃が重い日に体がだるく感じるのは、気のせいではないと思っています。
🔗 お腹と体の動きの関係
食後1時間は、横にならない
これは消化器内科の先生に言われたことです。
「食べてすぐ横になると胃の働きが弱まるので、食後1時間は横にならないほうがいい」
とはいえ、激しく動く必要もありません。私は食事中から辛くなるので、食後はたいてい座って休んでいます。それで十分だと思っています。
・寝ない(横にならない)
・動きすぎない(激しい運動はしない)
・座って休む——この真ん中がちょうどいい
それでも、やれることはある
「気をゆるめて食べましょう」——そう書いて終わるつもりはありません。
ゆるめられない状況が、現実にあるからです。小さな子どもがいる、仕事の合間に食べる、休憩時間が決まっている。そういう方に「リラックスしてください」と言っても、何も変わりません。
そのうえで、やれそうなことを挙げます。
・一口の量を減らす——意識しなくても、結果的にゆっくりになる
・食事中に一度、箸を置く——「ゆっくり食べる」より実行しやすい
・週に一度でいい、ゆっくり食べられる日をつくる
・座り方を変える——背中を丸めない。これは今日からできる
「毎回ゆっくり」は無理でも、週に一度なら作れるかもしれません。私にとっては、それがあの飲み会でした。
病院に行く目安
ここまで書いてきたのは、あくまで日ごろの工夫の話です。
市販薬で様子を見ていいのは、ここまでという線があります。
こんなときは受診してください
・体重が減ってきている
・黒い便が出る
・飲み込みにくい
・夜中に痛みで目が覚める
・市販薬をしばらく飲んでも変わらない
・急に始まった(これまで平気だったのに)
相談先は消化器内科です。
そして薬については、薬剤師や登録販売者に相談してください。持病のある方、ほかに薬を飲んでいる方はとくにです。私は薬の専門家ではありません。
よくある質問(Q&A)
Q1. 胃もたれと胃痛は違うのですか?
A. 感じ方が違います。胃もたれは「重い」「つかえる」という感覚で、胃痛は「痛い」です。ただし、どちらも原因はさまざまなので、痛みがあるときは早めに受診してください。
Q2. 食後に歩いたほうがいいですか?
A. 激しく動く必要はありません。横にならずに座っているだけでも構いません。軽く動けるなら、そのほうがいい場合もあります。体調次第です。
Q3. 市販薬はずっと飲み続けてもいいですか?
A. 飲み続ける前に相談してください。薬には用法・用量の目安があります。しばらく飲んでも変わらないなら、それは受診のサインです。
Q4. ストレスが原因なら、休めば治りますか?
A. そう単純ではないと思います。私も休めば治るわけではありません。それに、体の病気が隠れていることもあります。「ストレスだろう」と自己判断せず、続くなら受診してください。
Q5. ゆっくり食べる時間がとれません。
A. 私もです。だから「一口の量を減らす」「食事中に一度、箸を置く」のほうが現実的だと思っています。時間を作るより、動作を変えるほうが実行しやすいからです。
まとめ
・私の場合、「食後」ではなく「食事中」から辛くなる
・脂っこいものを避けても、ゆっくり噛もうとしても治らなかった
・量も内容も重い飲み会の日だけ、なぜか平気だった
・違いは食べ物ではなく、時間の長さと、気の張りだった
・早食いは癖ではなく状況のことがある
・体重減少・黒い便・飲み込みにくさ・夜間の痛みがあれば受診を
「脂っこいものを避けましょう」——これは正しい助言です。私も続けています。
ただ、それだけでは足りないことがあると、自分の体で知りました。
私に足りなかったのは、気をゆるめて食べる時間でした。
毎日は無理でも、週に一度なら作れるかもしれません。そういう時間を、意識して持ってみてください。

